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zoom RSS 上田早夕里さんの小説『ラ・パティスリー』

<<   作成日時 : 2010/12/23 04:18   >>

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前回の本のテーマの水嶋ヒロさんのところで、ふれたSF小説の雄上田早夕里さんの第四回小松左京賞受賞作の『火星ダーク・バラード』とSF短編集『魚舟・獣舟』を同時進行で読んでいて思い出した。
SF小説ではないが、4,5年前、上田さんの本を読んでいることを!
それが『ラ・パティスリー』。

画像


この小説は、ちょっと内容を説明しにくい。

ふつうのミステリの場合は、犯人を明かしてもストーリーが良ければべつに困らないのであるが、この小説の場合、、ネタバレをすると物語の根幹にかかわることを書かねばならないし、フランス菓子店での出来事なので、フランス菓子の名前だけでなく、フランス語が頻繁に出てくるからである。

小説の中に出てくるケーキの名前をあげると、ムース・オ・カフェ。アントルメ。シャルロット。タルト・オランジェ・・・・・・はっきりいってどんなケーキなのか頭に思い浮かばない。

さらに、ケーキの作り方や材料を書いたものをルセット・・・・・

お手上げである。




ねこのひげの知っているケーキといえば、せいぜいイチゴのショートケーキやチーズケーキ。モンブラン、タルト・・・・・(>_<)

このケーキの説明を・・・・と言われても困る。

しかし、ねこのひげは、決して洋菓子が嫌いではないけどね。

とくに本格的な芸術的なケーキは好きである。

酒も飲むがケーキも食べる両党使いである。

ゴディバを食しながら、ブランディーを。などとカッコつけていたこともある。今にして思えば赤面の至りである。(^^ゞ



谷中の事務所のちかく、谷中霊園ちかくに稲村省三さんが、洋菓子店をオープンした当時、頻繁に通っていた。
いまや大行列で、買うのに容易ではないので、とんとご無沙汰であるが・・・・仕事の打ち合わせなどのときに、差し入れに持っていくと、女性たちに大好評であった。

昼食のあとの散歩中に、谷中霊園に抜ける桜並木の通りに、古い一軒家が取り壊され、小さな二階建ての建物が出来だしたとき、ふつうの住宅だと思っていた。
ところが、谷中にはめずらしい洋菓子店で驚いた。
谷中には、古い和菓子屋や江戸時代から続く煎餅屋さんは何軒もあるが、洋菓子である。

正直、大丈夫か?と思った。

谷中といえば東京都内の田舎のような場所である。そこに洋菓子店がオープンしたのである。

ところが、その店の前に、世田谷ナンバーや目黒ナンバーのポルシェやベンツが止まっていることがあるのである。

あきらかにケーキを買いにきたようである。

ある日、好奇心にかられて覗いて見た。


世田谷や目黒から谷中まで買いに来るケーキとは?



お客は、だれもいなかった。店の中は、6畳程度の広さ。女性従業員2人が上品な制服姿で出迎えてくれる。ショーケースに、整然と並ぶケーキ。

奥が厨房のようで、パティシェが作っているのが見える。それが稲村さんだと後に知った。

当時は喫茶室はなかったので、モンブランとショートケーキを買って帰って事務所で食べた。

びっくりした。そこいらのスーパーやコンビニで売っているケーキなど比べものにならない味だった。

原宿や六本木。いや銀座で売っていてもおかしくない味だった。稲村さんは、銀座のホテル西洋銀座でパティシェをやっていたそうである。

なにかにつけ買って帰った。クリスマスシーズンにはクリスマスケーキを予約しておいたりした。


しばらくすると、テレビなどで紹介されるようになり、行列が出来るようになった。


30分も1時間も並ぶのは嫌いなので足が遠のいた。





本のタイトル『ラ・パティスリー』とは、フランス語で、フランス菓子店のことである。

そのフランス菓子店の『ロワゾ・ドール』に勤めることになったばかりのパテシェの卵である森沢夏織(もりさわかおり)二十歳が、朝早く、勤め先である『ロワゾ・ドール』について、店のシャッターの鍵を開け、中に入ると、厨房で見知らぬ男が、飴細工の薔薇を作っていた。

その薔薇の花は、新人パティシェである夏織を驚嘆させる出来だった。おそらくなんどもコンクールに入賞して賞を獲っているベテラン・パティシェでしか作れないような薔薇だった。

フランス菓子に使う飴細工の薔薇を作るには、砂糖を摂氏180℃に熱して溶かし、そこに食用の色素で色をつけて作る。

作った飴の温度が80℃程度に下がったところでちぎり、すばやく薔薇の花びらの形に作り、それを張り合わせて薔薇の花を作る。

飴は冷えると固まってしまうので、熱いうちに、すばやく作らねばならない。なれないうちは、火傷して手のひらに火ぶくれが出来るそうである。

それをいとも簡単そうにやってのける男は、海外のコンクールでも優勝経験がありそうなベテラン・パティシェということになる。


しかし、その見知らぬパティシェは、鍵がかかった密室と言っていい店のなかにどうやってはいたのか?

ふだん従業員が出入りする裏口には、ダンボールが積んであって開けられなくなっている。

オーナーが新しく雇ったパティシェなのか?

だが、その見知らぬパティシェ市川恭也は、ここは自分の店だという・・・・・しかし、店の名前がちがっていることがわかる。

店の名前は『ロワゾ・ドール』ではなく『ロワゾ・アルジャンテ』だという。開店して何年にもなるという。


徐々に、市川恭也が記憶喪失であるらしいことがわかってくる。


名前がわかるので市役所に連れて行くが、調べても名前がない。警察に連れて行き、失踪人届けが出てないか調べる。届出はない。
病院に連れて行くと、頭に手術後があるのでそれが記憶喪失の原因らしいことはわかる。


彼は、腕のいいパティシェということで、わかるようになるまで、とりあえず『ロワゾ・ドール』で働くことになり、ケーキにかかわる事件や出来事が起き、夏織は、この謎のパティシェ市川恭也に惹かれていく。

殺人事件などの大きな事件が起きるわけではないが、魅力あるストーリーである。

ミステリー部分が、殺人事件などの凶悪な事件でないのがよい。時々、小中学生あいての小説で猟奇連続殺人事件が出てきたりすると、ゲンナリすることがある。


連続テレビドラマにしてもよさそうな内容で、主人公の森沢夏織と市川恭也の淡い関係。オーナーとその息子の確執。従業員たちとの微妙な関係。『ロワゾ・ドール』に訪れるお客などが絡み合って物語が紡がれ、恭也の謎が解けていく。


テレビドラマにするとすれば、キャストは、森沢夏織を堀北真希か上戸彩あたりか?市川恭也を玉木宏あたり・・・・・・男は知らんが、AKBだけはやめてくれ。(~_~;)


フランス菓子以外のことも、じつによく調べてある。


小説家とはいえ、上田さんは、よく調べたものと思っていたら、上田さんは神戸で生まれ育ったそうで、神戸は日本でもっともケーキの消費量の多い街だそうである。ご家族の1人が、神戸の洋菓子メーカーに25年間勤め、ご自身も短期間、製菓の現場にいたことがあり、長年温めていたアイデァであるそうだ。


だからストーリーにリアリティがある。


上田早夕里さんは、SF作家と思っていたが、SF小説以外も幅が広そうである。


将来有望な作家の1人でありますな。


大いに期待したい!



クリスマスシーズンなので、洋菓子の小説を取り上げてみました。

現在、文庫にもなっているようであります。

ちょっぴり、あまく、切ない、ラブ・ミステリー小説です。


クリスマスに、おひとつ、いかが?    





                                      


ーーーーーーーーーーーーーー

参考文献

ラ・パティスリー
角川春樹事務所
上田 早夕里

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ラ・パティスリー (ハルキ文庫)
角川春樹事務所
上田 早夕里

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「ラ・パティスリー」上田早夕里
坂の上の洋菓子店へようこそ!ある日突然現れた謎の菓子職人・恭也と、新米パティシエ・夏織。2人の交流を通じて描く洋菓子店の日常と、そこに集う恋人・親子・夫婦たちの人間模様。甘くほろ苦いパティシエ小... ...続きを見る
粋な提案
2011/02/15 16:50
『ラ・パティスリー』 上田早夕里
舞台となっているのは、神戸にある<ロワゾ・ドール>というフランス菓子店。 主人公の森沢夏織はここで働く新人の洋菓子職人で、今日も一番に出勤して、皆が出てくる前に準備を整えようとしていた。ところが誰もいない筈の厨房で、飴細工作りをしている見知らぬ男性を見かける。 市川恭也と名乗ったこの男性はこの店のシェフだと言い張るのだが、夏織は勿論、オーナーも出勤してきたスタッフも誰一人彼のことを知らない。ところが恭也の腕は一流で、しかも店のレイアウトの隅々まで熟知しているのだ。 どうやら彼は記憶の一部を... ...続きを見る
【徒然なるままに・・・】
2012/02/28 21:03

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
日本のケーキは美味しいですからね〜。競争も激しいのでは?とも思います。
書評と関係ないレスで失礼しました
おばちゃん
2010/12/24 02:09
☆ おばちゃんさんへ
いえいえ関係なくはないですよ。
競争が激しくて、おいしくても閉店する洋菓子店があると本の中にも出てきます。
『ロワゾ・ドール』もデパートに出している出店を閉店しなければいけない危機が・・・・
しかし、市川恭也のアイデアによるケーキで、閉店しなくて住むことになります。
そこから市川恭也の記憶喪失の謎も解け出します。
メリークリスマス
ねこのひげ
2010/12/24 05:11
Merry Christmas〜☆
今日は我が家にユーハイムのケーキがやってきます。
ご紹介のケーキのようなわけにはいかないと思いますが、
ここら辺ではまずますと言ったところでしょうか。
ご紹介の本、旅行の時にいいかもと思いました。
重すぎず、深すぎず、濃すぎず、旅のお供になる本を探しておりました〜。
くろねこ・ぷぅ
2010/12/24 09:04
☆ くろねこ・ぶぅさんへ
どこかにご旅行ですか?それともふるさとに帰郷ですか?
お気をつけて!
メリークリスマス
ねこのひげ
2010/12/24 12:37
ムース・オ・カフェ、タルト・オランジェ。コーヒー味と柑橘系の洋菓子の好きな私は、読んでるだけでワクワクしてきました(笑)
うちの近くもおいしいケーキ屋さんがあるのですが、クリスマスケーキはポイントが5倍という理由だけでコープさんのにしたのですが・・・さっき食べてみて、ちょっとがっかり(~_~;)
堀北真希ちゃんは、私も女優さんの中ではかなり好きですね。透明感があって品もあるし(*^_^*)
キーブー
2010/12/24 22:35
☆ キーブーさんへ
クリスマスケーキは生地を大量に作り置きしておくそうで、そのためにパサパサになっておいしくなくなると、ストーリーのなかにも出てきました。
読んでいて、テレビドラマにするとすれば、堀北真希さんあたりが似合いそうだと思いました。
メリークリスマス
キーブーさんがおいしいケーキをたくさん食べれますように
ねこのひげ
2010/12/25 04:49

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