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zoom RSS マイクル・コナリー著『スケアクロウ』

<<   作成日時 : 2013/04/17 02:32   >>

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マイクル・コナリーの待望のミステリー小説『スケアクロウ』である。
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主役は、ロスアンゼルスタイムの新聞記者ジャック・マカヴォイである。
そうあの『ザ・ポエット』のジャック・マカヴォイである。
マカヴォイは、12年前のポエット事件の記事によりピューリッツァー賞の候補になり、地方の新聞社ロッキーマウンテン社からロスアンゼルスタイムに引き抜かれ、いまや大物のベテラン記者として活躍していたが、とつぜん解雇通知を言い渡される。

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ザ・ポエット事件から、12年たって、目立った活躍もしていなかったからというのが公の理由であるが・・・・・・

マカヴォイ自身も自覚はしていたのであるが・・・・・・

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かつては大リーグシカゴ・カブス球団のオーナーになるなど飛ぶ鳥を落とす勢いであったロスアンゼルスタイムだけでなく、他の新聞社もご同様で、新聞業界は、インターネットの発展により新聞の発行数が大幅に落ち込み不況の荒らしに見舞われていたのである。

で、インターネットを満足に使えない高給取りのマカヴォイのような大ベテラン達に白羽の矢がたち、次々とリストラされて、ただでも記事を書きたい、新聞記者になりたいという大学を出たばかりの安い給料で働いてくれるパソコンオタク達に首が挿げ替えられていた。

経費節減のためであった。


次は、マカヴォイの番となったが、レイオフ(首)になる前に2週間の余裕があたえられた。

新人である女性記者アンジェラ・クックに、警察への取材の仕方などを教えることを条件に。

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ふつう、アメリカでは、首を言い渡された瞬間に、会社内から退去をさせられる。会社から与えられたクレジットカードも止められ、パソコンの使用も禁止させられ、警備員がそばについていて、自分の荷物をダンボールに詰め込んで会社の玄関から出ていくまで見張られる。

首にする社員に、温情で何日かの余裕をあたえたら、社の機密を盗まれたり、パソコンを使えなくされたり、トイレにボールを詰め込んだりなどの嫌がらせをされた例が何十件もあるからである。

マカヴォイは、その2週間の間に、新人を鍛えるあいだに、大スクープとはいかなくても、目の覚めるような記事を書いて出ていくことにした。

会社が首にしたことを後悔するような記事を書くことにしたのである。

引き留めてもやめてやる覚悟が出来た。

そしてやめた後は、『ザ・ポエット』事件以来からの懸案であった小説を書くことに決めた。

書こう書こうと思いながら、グズグズと先延ばしにしてきていたのである。

半年ぐらいは、なんとか食べていけるだけの貯金もある。その間に1冊の本になる小説を書きあげるつもりだった。

そうして、古いファイルからなにか記事に出来る事件はないかと探し出した・・・・・・・


実は、作者であるマイクル・コナリーもかつてはロスアンゼルスタイムズの記者として活躍していたのである。

この『スケアクロウ』は、その新聞業界に対するエールにもなっている。

経費節減のために高給取りの記者を首にするだけでは、新聞業界の復活にはならないということでありますけどね。

『死はわが職業』という『ザ・ポエット』の冒頭の有名な言葉こそ、新聞記者に与えられる金言でもある。

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そして、ジャック・マカヴォイが以前書いた小さな事件の記事から、事件は大きく動き出す。

マカヴォイ宛に1本の電話がある。その事件の犯人である黒人少年の祖母からであり、黒人少年は殺人を犯していないとありきたりの電話であったが・・・・・・


調べていくと、事件は大きく不気味に変貌しだす・・・・・・・・

そのきっかけをあたえたのが、新人女性記者のアンジェラ・クックであった。

彼女は、新聞記者になるより、テレビキャスターにでもなったほうがよさそうな美貌とスタイルの持ち主であり、上昇志向の強い才媛であった。

だが、彼女は殺人事件に異常な関心を示し、『ザ・ポエット』事件にも異常な関心を示し、マカヴォイの書いている記事も勝手に読んで調査をしてきていた。

それが、彼女に悲劇をもたらし、マカヴォイをいやもおうもなく事件の中心へと引きずりこんでいく。

そして、レイチェル・ウォーリングが登場する。

レイチェル・ウォーリングとは、『エコ・パーク』の事件で出会い、マカヴォイと不適切な関係のあったFBIの女性調査官でありプロファイラー(profiler)である。

彼女は、ボッシュ刑事とも不適切な関係にあった。

どちらが本命なのか?


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おかげで、レイチェル・ウォーリングは、地方に左遷されるという憂き目にあったのであるが、その彼女が彼の前に現れ、FBIが事件の調査に乗り出すことになったのがわかる。

黒人少年が起こしたと思われていた小さな殺人事件が、全米規模に上る連続殺人事件・・・・しかも女性に対する猟奇的なサディスティクな事件であることがわかってくる。

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女性に対する悍ましい事件が、何件も長年にわたり、いやもしかしたら何十件もの事件が行われ、何十年も巧妙に隠され続けられてきたのではないかということがわかってくる。

他の殺人事件でも、犯人として逮捕されていた人間が犯人でないことがわかる。


なぜ、それらの事件が隠され続けることが出来たのか・・・・・・・?


マカヴォイも、すんでのところで殺されかけ、訪問先を先回りされて調査をことごとく邪魔をされる。相手が容易な犯人でないことがわかる。

なぜか、マカヴォイの行動が・・・・レイチェルの調査が・・・・犯人に筒抜けなのである。

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スケアクロというタイトルに大きな意味がある。

スケアクロウ・・・・案山子とは・・・・・・?

なんのためのものでしょう・・・・・・・・・・・


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『ザ・ポエット』もおすすめであります。

これも実にあ然とさせられる話であり、息もつかせぬ展開には驚くべきものがあります。

ミステリーフアン必読であります。


『スケアクロウ』『ザ・ポエット』・・・・どちらを先に読まれても引き込まれ驚かれますよ。


主役はジャック・マカヴォイというより、犯人かもしれません。



                                    








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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
 なるほど、面白そうですね。サスペンスとミステリーを両方楽しめそうです(~_~)。
 いろんな月の写真がいいです(^^♪。
遊哉
2013/04/17 10:14
またまた、面白そうです。
ねこのひげさん、本の紹介がうまいですね〜。
USのレイオフ、うちの会社でも目の当たりにしました。レイオフの通知はピンクの紙で来ます。すると、その日のうちに机の周りの私物をとりまとめて出て行きます。うちの会社の場合はビルディングの入り口は鍵がかかっていて、入るのには身分証明のカードではいるのですが、そのカードを取られてセキュリティガードが外に連れて出ていました。
だから、ピンクスリップをもらったと言うとレイオフされたということです。レイオフにして2週間も置くということは、めったにないですね。
櫻弁当
2013/04/17 11:15
まさにいま読了したばかりです!グイグイ引き込まれ
ますよね。情報社会の怖さ人の心の闇を
垣間見る気がしました。
マカヴォイが登場する作品が好きで「ザ・ポエット」
は私的に一番面白かったです。
マカヴォイの記者魂もっと見てみたいですね。
ひまわり
2013/04/17 11:20
うう〜〜面白いっ!
先が気になります。
え?最後まで書いてないの?
と思っちゃうくらい、一冊の本を読むように引き込まれましたよ。
案山子・・・
これを念頭に入れて読むと犯人見えてきそうな感じですね〜。
TAMO
2013/04/17 18:49
☆ 遊哉さんへ
面白いですよ〜
読んでみてください。
写した後、載せていなかったので・・・・
ミステリーには月がよく似合う・・・・ということで(^^ゞ
ねこのひげ
2013/04/17 19:40
☆ 櫻弁当さんへ
ありがとうございます<(_ _)>
かなり色々なイヤガラセがあってから、すぐに追い出させるようになったようですね。
二週間の余裕というのは、話の都合上かな?
重役でも、その場から退去されるようですからね・・・・
ねこのひげ
2013/04/17 19:44
☆ ひまわりさんへ
マカヴォイが、このまま作家として生活していくとは思えませんね。
いずれ、どこからか・・・・ニューヨークタイムズあたりから声がかかって記者として復帰するのではないでしょうか。
ねこのひげ
2013/04/17 19:50
☆ TAMOさんへ
ミステリーですから、ネタバレするわけにはいきませんから・・・・
読んでみてください。
面白いですよ。
ねこのひげ
2013/04/17 19:58
レイオフの前には会社側からイヤガラセはしません。というか、できません。USはとにかく訴訟の多い国ですから、見え見えの嫌がらせなどしたら、ぜったい訴えられます。
だから、仕事のパーフォーマンスの評定を使って、パーフォーマンスが悪いからやめてもらうという風に言うわけです。勤務評定は、たいていレイオフの時期の前にあります。これは非常に主観的なものですから、同じ仕事の出来具合でも優秀になったり不可になったりしてしまうのです。その勤務評定は部下と上司の両方が納得し、サインをします。だから、レイオフされる側もこれはアブナイとすぐ解るし、後で文句が言えないのです。
そういう意味でも、二週間の余裕というのは、話の都合でしょうね。
櫻弁当
2013/04/18 00:33
☆ 櫻弁当さんへ
ねこのひげの書き方が悪かったようで…・
会社からではなく、レイオフされた人間からということです。
自分の私物を持ち帰るのに、何日かの余裕をあたえたら、会社のトイレにボールを詰め込まれたとかいう例がいくつもあるようです。
日本ではめったにないですけどね・・・・(^^ゞ
ねこのひげ
2013/04/18 02:21
あ、レイオフされた人の方ですか。
でも、そんなイヤガラセは、大学以上の学歴を要求するような職種だったら、考えられないことですね。というのは、次の仕事を探す時に困るからです。次の雇う側の会社は、その人がどのような人か知るために、元の仕事場の誰かをレファレンス(reference)として要求するからです。普通3人レファレンスを出せといわれます。
それに、そういうイヤガラセはミスデミーナー(misdemeanor、軽犯罪)の取り扱いになるので、やっても得にはなりません。
たぶん、珍しいことだからニュースになったのでしょう。
櫻弁当
2013/04/18 08:41
いつも面白い本を見つけますね。ねこのひげさんが書かれたあらすじとスケアクロウがどう繋がるのか気になります〜 これは読まないと分からないんですねぇ。
最近これとはっきりしたことはないのに何故か忙しくて本を読んでいません。暖かくなって心身ともにあっちもこっちも気になって上手く時間が使えていないのかも知れません(笑)
白うずら
2013/04/18 16:40
☆ 櫻弁当さんへ
こういう場合、損得というより、首にされた恨みを晴らす意味の方が大きいでしょうね。
過激になると、銃の乱射事件に発展した例もありますしね。
ねこのひげ
2013/04/18 18:14
☆白うずらさんへ
ネタバレすると、面白さが半減しますからね〜
まあ、お暇なときに気が向いたら手に取ってみてください。
裏切らない一冊です。
ねこのひげ
2013/04/18 18:17
同感です。ニューヨークタイムズいいですね。
ボッシュやミッキーのシリーズにもひょっこり
登場してますから期待できますね。
また面白い小説があったら紹介して頂けると
嬉しいです。
ひまわり
2013/04/19 00:40
☆ ひまわりさんへ
ボッシュも、刑事をやめて私立探偵をやったあと、また刑事に戻りましたから、きっと戻るでしょうね。
どういう形で戻るかが楽しみです。(*^。^*)
ねこのひげ
2013/04/19 02:22
コナリーの作品は、ボッシュ刑事のしか読んだことがないのですが。
今度は新聞記者が主人公なのですね。面白そう♪
んで、ボッシュは刑事をやめて私立探偵になったあとまた刑事に戻ったんですね。それは知らなかった〜(笑)
ボッシュものも含めて、この人の作品は一度ちゃんと読んでみなきゃ(^^ゞ
キーブー
2013/04/21 18:07
☆ キーブーさんへ
コナリーの作品に出てくる人物たちは、主役が脇役になったり脇役が主役になったりして、なんらかのつながりがあったりします。
それが楽しい所でもあり、魅力になっているようです。
1作品だけでも面白いですが、全部読まれるともっと面白くなります。
ねこのひげ
2013/04/21 18:45
ギュウギュウ中は気持ち玉、コメントありがとうございました!とても励みになりました

また、面白そうな本ですね。
ねこのひげさんは、本の紹介がとっても上手ですよね〜 普段ミステリー系はほとんど読まない乳母やも読みたくなります
一つの作品の登場人物が他の作品にも出てくるなんて好きです。おもしろさが膨らむ感じがします
マーシャの乳母や
2013/04/27 00:16
☆ マーシャの乳母やさんへ
どういたしまして、元気になられて良かったです。

ありがとうございます。
おもしろいですよ〜(*^。^*)
ぜひ、読んでみてください。
同じロスアンゼルスだから、主人公同氏が出会っても不思議ではないですよね。
うまくからませて物語を膨らませてます。
ねこのひげ
2013/04/28 05:38

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