ねこのひげ

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zoom RSS スペインのミステリー小説『風の影(LA SOMBRA DEL VIENTO)』

<<   作成日時 : 2012/05/13 05:05   >>

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スペインのバルセロナで生まれたカルロス・ルイス・サフォンによるミステリー小説です。
バルセロナといえば、世界中の観光客を引き付ける有名なサグラダファミリア教会のある都市として有名であり、画家パブロ・ピカソが絵の勉強をした街であり、ピカソ美術館があります。
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ピカソ美術館
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そして、サッカーフアンにとって忘れてならないのは、あのメッシの所属する青とえんじのユニフォームで有名なFCバルセロナチームのホームタウンであります。
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『風の影』

ちょっとというかかなり不思議な小説です。


古書屋の10歳の息子ダニエルが、父親センベーレに連れられて『忘れられた本の墓場』に向かうところから話は始まる。



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スペインのバルセロナのランブラ・デ・サンタモニカ通りを、まだ夜の眠りから覚めやらぬ通りを歩いていき、道と呼べないような傷跡のような細い通りを父親の後についていき、残響と陰の美術館のような建物にはいていく。
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その建物が『忘れられた本の墓場』であり、そこで少年ダニエルは『風の影』という本と出会い、『風の影』の作者フリアン・カラックスの謎を追うことになる。

抒情的というかリリカルな美しい文章が綴れていく。

児童向けのような出だしだが、進むにつれ、ヨーロッパ独特のグロテスクなゴシック模様が現れてくる。

ゴヤの描く油絵のなかに溶け込んでいくような小説です。

正直、これはなんだ?

冒険物?ミステリー?恋愛小説?

初恋の相手となる透き通るように美しい盲目の女性も出てくる。

幼馴染の少女が美しい女性へと変貌し恋人になる。

この世に残されたたった一冊の本を少年ダニエルが手に入れたことにより、その本『風の影』を巡って、奇妙な事件が起きだす。

少年ダニエルにつきまとう顔のない男。

執拗につきまとい『風の影』を渡すように要求する。

不気味で強権的な刑事フメロ。

独裁政権下の警察権力ほど絶対的なものはない。

ダニエルを助ける元フォームレスの店員フェルミン。
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『風の影』の作者フリアン・カラックスの悲劇が徐々に明らかになっていく。

彼は、パリに行って死んだというが・・・・・


『風の影』はダニエルが手に入れた一冊を除いてすべてがこの世から消されていた。

そして、最後の一冊にも・・・・・

美しすぎた故に悲劇に見舞われたカラックスの恋人ペネロペ。
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やがて、少年ダニエルの人生と『風の影』の作者カラックスの人生が重なって行き、容姿さえも似ていることがわかり、カラックスの息子だと偽って、カラックスの謎を追いかけて行く。

スペインカタルーニャ地方の古都バルセロナで起きたおぞましくも不気味な事件。

バルセロナの美しい町並みとそこで生きる庶民の生活のなかの、権力に対する絶望と抵抗。

殺人もSEXもあり、フランコ総統の独裁政権下の悲劇というか、スペインバルセロナの醜くも美しい裏側が見えてくる。


1939年以降、スペインは、スペイン内戦で共産党政権を倒した独裁者フランコの絶対的支配下にあり、フランコの巧みな外交戦術により、ドイツイタリアのファシズム政権が滅びた後も、1975年にフランコが死ぬまでスペインはその支配下にあった。

特にカタローニャ地方は、スペイン語ではなくカタローニャ語という違う言語を使用しており、フランコ独裁政権下では、そのカタローニャ語の使用を禁止されていた。

その独裁政権下のバルセロナのミステリー小説である。

スペインといえば、バルセロナといえば、ピカソとサグラダファミリアとサッカーだけではないことを思わせる小説である。


スペインは、カタルーニャだけでなく、カステーリャ語が公用語のアンダルシア地方やバスク語が公用語のバスク地方など、スペイン人というひとつの民族でくくることができない複雑な一面を持つ国でもある。


10歳だったダニエル少年は、『風の影』の謎をおいかけるうちに、美しい青年へと成長するが、命の危険にもさらされ、刑事フメロに殺されかける。

フメロは、なぜそこまでしようとしたのか?
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最後に、なかなか説明しがたい小説作品なので、おわびにパブロ・カザルスの『カタルーニャの鳥』などを・・・・記事を書くにあたって、なんどか読み返したのですが・・・・ネタバレというより、読まないとその魅力が伝わらない小説です。

海外で『サフォン・マニア』と呼ばれるほどの熱狂的なフアンを生み出した小説だそうです。

言葉の美しい魅力的な小説です。

カタルーニャ独特の風土と歴史が生み出したミステリー小説です。


パブロ・カザルスは、五木博之さんの『戒厳令の夜』に登場する三人のパブロの一人です。


画家のパブロ・ピカソと詩人のパブロ・ネリーダ。そしてチェリストのパブロ・カザルス。

スペインが生んだ3大巨匠の1人です。

カザルスは、世界一のチェリストと言っても過言ではありません。





ニューヨークの国連本部での演奏です。


『・・・・・カタルーニャの鳥はピース(平和)ピース(平和)と鳴きます・・・・・・』という国連本部での有名な言葉で始まるチェロ演奏です。



こちらはホワイトハウスでのライブ演奏・・・・
カザルスは、長い間、フランコ独裁政権を認めた国での演奏を拒否して演奏をせず、隠遁生活してきましたが、ケネディ大統領の自由に対する姿勢に共感を覚え、ホワイトハウスでの演奏を承諾しました。


拍手する聴衆のなかには、バーンスタインやストコフスキーなどがいたそうです。


ねこのひげもCDを持ってます。

その音色のなかにスペインの哀切と悲劇が感じられる演奏です。


演奏をバックに『風の影』を読まれるとよいかもしれません。





                          



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参考資料








風の影 (上) (集英社文庫)
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カルロス・ルイス・サフォン

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風の影 (下) (集英社文庫)
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カルロス・ルイス・サフォン

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鳥の歌-ホワイトハウス・コンサート
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2008-11-19
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コメント(24件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげさん、ブックレポートがほんとにお上手ですね。つい読みたくなります。
The shadow of the windは世界ベストセラーなんですってね。知らなかった。アマゾンで10ドルくらいだし、読んでみようかな。
櫻弁当
2012/05/13 09:09
 この本、6年ほど前に話題になって、その時に読んでました(~_~)。
 ゴシック小説の香りがただよう物語で、歴史を背景にした恋愛ロマン、推理、冒険、風俗喜劇……といろんなジャンルの要素があって惹き込まれる小説ですね。
 書店員のフェルミンがとても面白い存在だと思います。言うことがなかなか含蓄があったという覚えがあります。
 本好きには堪えられない物語だと思います(~_~)。
遊哉
2012/05/13 12:02
☆ 櫻弁当さんへ
お褒めいただき、赤面の至りです。
なんとか、おもしろさが伝われば・・・と思いまして・・・・
世界35カ国で出版され、6〜700万部売れているそうです。
ねこのひげ
2012/05/13 18:08
☆ 遊哉さんへ
あらっ!読まれてましたか・・・・
で、遊哉さんのブログの本のテーマを検索したら、2006年12月22日に記事にされてましたね。
あのころは、オフクロの痴呆がひどいころで、世間の話題とか気にしていられなかった頃ですね。
見つけたのも、2年前ぐらいで、立ち読みして面白そうで買ったのですが・・・・
面白さをどう伝えればよいかで、四苦八苦しました。
ストーリーを説明すればよいという作品ではないですね。
本としての魅力というか、文章の魅惑ですね。
ねこのひげ
2012/05/13 18:17
いつもねこのひげさんの書評読むと、うなります!
読みたくなりますねえ
臨場感伝わるし
あらゆる要素が詰まってますね
探して見ます^^
タフィー104
2012/05/14 06:36
☆ タフィー104さんへ
ありがとうございます。赤面の至りであります。<m(__)m>
2006年の発売なので、Amazonあたりで探されるとよいかも・・・
ねこのひげ
2012/05/14 06:51
カタルーニャもバレンシアも、自分たちのことをスペイン人だなんて思っている人は、一人もいないでしょうね(笑) 今も政情が大変なことになってるし・・・ 日本も大変だけど(汗) 
pmarin
2012/05/14 11:33
なるほど、やはり本はその別な次元の世界を追体験させてくれる不思議な乗り物なんだなあと改めて思いました。
想像力が構築する別な世界に引き込まれている感じはたまりませんね。(^^ゞ

moumou.h53
2012/05/14 12:40
不思議なミステリ発掘ですね^^。
図書館にありましたー。
色々な要素があるというのも楽しみ。
チェロのBGMを聴きながらこのミステリを
紐解いていく…
気分が盛り上がること間違いないですね。

ひまわり
2012/05/14 18:03
☆ pmarinさんへ
そう、思ってないでしょうね・・・・
ウィグル人もチベット人も、自分たちを中国人と思っていないように・・・・・・(~_~;)
ねこのひげ
2012/05/14 19:14
☆ moumou.h53さんへ
本を開ければ、座りながらにして、違う国、違う時代、はるかかなたの銀河にも行けますからね。
想像力というのは、素晴らしい力ですよね。(*^。^*)
ねこのひげ
2012/05/14 19:23
☆ ひまわりさんへ
まさに本の墓場から掘り出した気分ですね。
図書館にありましたかーっ
ぜひ、お読みください。
不思議なぞくぞくするようなミステリーですよ。(*^。^*)
ねこのひげ
2012/05/14 19:27
みなさんのおっしゃるとおり。またまた、読みたくなってきましたw
スペインと言えばカタロニア・サーキットが真っ先に頭に浮かぶ乳母やですが、、、
早速図書館で探してみます
マーシャの乳母や
2012/05/14 23:55
☆ マーシャの乳母やさんへ
ぜひ、お読みください。魅力的な小説です。

カタロニア・サーキット。
ということはF−1がお好きなのかな?それとも自転車のほうかな?
ねこのひげ
2012/05/15 05:52
火星ダーク・バラード 読み終えたら借りま〜す
F1好きです! でも自転車も好きですw
マーシャの乳母や
2012/05/15 22:59
☆ マーシャの乳母やさんへ
上田さんのッ処女作『火星ダーク・バラード』を読まれてますか。
未来の悪夢の味はいかが?
F1がお好きですか?
名前をあげられたということは、もしかしてレースを観に行かれたんですか?
ねこのひげ
2012/05/16 05:59
『火星ダーク・バラード』まだ途中ですが、ぐいぐい引き込まれてます。悪夢は醒めるのでしょうか?w
F1は残念ながら、国内(鈴鹿、TI)だけです。ずいぶん前の事ですが。
マーシャの乳母や
2012/05/17 23:11
☆ マーシャの乳母やさんへ
悪夢が醒めるかどうかは、言わぬが花でありましょう。
でも、『火星ダーク・バラード』が処女作というのが驚きです。

F1。
ねこのひげは『ツインリンクもてぎ』で観ましたが、海外で見るとまた違うでしょうね。
カタロニアで観てみたいですね。
ねこのひげ
2012/05/18 05:05
The shadow of the wind 英語で 読みました!読みだしたらもう止まらない!

始めは、映画にしたらどうなるだろうと思いながら読みました。でもこれは2−3時間では収まらないですね。ミステリーですが、吹き出すほどおかしいこともあり、ジーンとくるような感動的なこともあり、凄まじいとしか言いようのないこともあり、もちろんラブストーリーもあり。で、よく考えたら、かえって日本の連続テレビドラマにできないかなと思えてきました。

本当に、読んでよかったーっと思います。
櫻弁当
2012/05/28 07:18
☆櫻弁当さんへ
おっ!?英語で読まれましたか!
さすが、アメリカ暮らしですね。
ねこのひげは、くたびれるので英語では読まなくなりましたけど、やっぱり、原文で読むほうがよりおもしろいでしょうね。

櫻弁当さんも、『サフォンマニア』になられたようですね(*^。^*)〜♪
ねこのひげ
2012/05/28 19:16
このストーリー、スペイン語が原文じゃないんですか?アマゾンのリビューでは総勢850人以上で平均4.3(最高が5.0)ですが、時々訳がまずいとかの苦情がありました。櫻弁当は、スムーズな英語だと思いましたけどね。まあ皆さん100%満足させるというのは不可能かもしれませんが。

日本語の本は、サンフランシスコの紀伊国屋に行かないと手に入りません。それに櫻弁当は30年以上USにいますから、なんとか本も読めるようになりました。日本語の細かい表現を忘れそうで、この頃ブログを拝見するとああそうだこういうふうに言えるんだと思うようなことがいっぱいあります。
櫻弁当
2012/05/28 23:48
☆ 櫻弁当さんへ
あっ!?失礼しました。
サフォンが、現在ロスアンゼルスに住んでいるので、英語が原文と思い違いをしました。
『風の影』は、最初スペイン語で書かれ、スペインで発売され、ドイツで翻訳発売されてから、人気に火がついたのだそうです。

どんなに優れた小説でも読んだ人全員が好きになることはないですよね。

サクラメントでは日本の本は手に入らないんですか。

30年ということは市民権なども手に入れられたのですか?
ねこのひげのおばさんは、60年は住んでいるはずなんですが、手に入れてません。
日本人で無くなるのが嫌なんだそうです。
子供や孫はアメリカ生まれなので持っていますけどね。

サフォンの『風の影』は4部作だそうで次の作品は『天使のゲームEI juego del angel』というタイトルで2008年に発売されているようです。
残念ながら日本ではまだ発売されていませんが。
ねこのひげ
2012/05/29 04:41
サクラメントで日本語の本を買うとしたら、日本のアマゾンで通販でしょうね。でもこの頃は円高で、郵送料も払って、となるとそこまでして買う気力が出ません(笑)。

はい、櫻弁当は市民権持っています。でも、日米間をよく行き来されるなら、永住権(グリーンカード)の方が便利かもしれません。日本に入る時は日本のパスポートで、USに入るときはグリーンカードでいけますから、ビザなどの心配なしで飛行機の切符を買うだけで、行き来できます。

「The angel’s game」はウィキペディアで見たら、時間的にはShadowよりも前の出来事のようです。また作家が主人公でその人の本がセンぺーレの古書店に現れるところで終わるようです。でもShadowよりもっと暗く、もっと複雑で、もっとバイオレンスがあって、もっと死体がころがって、スーパーナチュラルのキャラクターも出るとか。いったいどのようなのでしょうね。

櫻弁当
2012/05/29 11:45
☆ 櫻弁当さんへ
円高ですからね。
ねこのひげは、逆に海外通販を利用してます。
日本で買うと1万円以上するものが、海外に直接頼むと7,8千円ですから利用しない手はありません。

おばさんは、もうちょっと日本への旅行は無理な年齢なんですけどね。
本人の気持ちでしょうね。

それは、すごそうですね。
日本でも『風の影』はヒットしたから、翻訳されて出版されてもいいはずなんですが・・・・
翻訳するのに手間取っているのでしょうかね?

ねこのひげ
2012/05/29 19:12

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