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zoom RSS 映画『ブラッド・ワーク』と原作『わが心臓の痛み』との比較

<<   作成日時 : 2012/01/29 06:22   >>

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クリント・イーストウッドが製作・監督・主演した『ブラッド・ワーク』が、先日1月26日、テレビ東京で放映されたので、原作『わが心臓の痛み』との違いを比較してみることにした。
日本公開が2002年12月の作品である。この10年の間に何度か放映されたが、この後のション・ペーンがアカデミー賞主演賞を受賞した『ミステック・リバー』のほうがヒットしたため、陰に隠れてしまった。
しかし、原作は、ハリー・ボッシュシリーズで著名なマイケル・コナリーのノン・シリーズ(単品)作品であり、賞をいくつか受賞しているすぐれたミステリー小説である。

原題が『BLOOD WORK』で邦題が『わが心臓の痛み』である。

なかなかよい日本タイトルである。最近の本のタイトルはよいものが多い。映画のタイトルも『わが心臓の痛み』にしたほうがよかったのではないか?
まさに心臓の痛みであるから・・・・

『BLOOD WORK』とは直訳すれば、血の仕事であり、これは、FBI捜査官たちが、自分たちの仕事のことを揶揄する言葉である。
彼らのほとんどが血まみれの殺人事件を追いかけているからである。

プレデター(Predator=捕食者)として、血まみれの犯人(獲物)を追跡しているのである。


主人公テリー・マッケレイブも、殺人事件を追いかけるFBI捜査官であった。特にシリアルキラーと呼ばれる連続殺人犯を追いかける捜査官であり、プロファイラーであったが、いまや、元FBI捜査官である。

FBIをやめた理由は、捜査中に心臓が壊れ、心臓移植手術を受けなければ、命がないことがわかったため、やめざるを得なかったのである。

早期退職をして、心臓移植を受け、父親から受け継いだ船でのんびりと過ごさざるを得ない隠遁生活を送っている。

死にたくなければ、車の運転さえしてはならないと、医者から厳重注意を受け、拒絶反応を抑えるため、一日に30何錠もの薬を飲まざるを得ない生活を送っている。

愛車にはカバーが架けられ、船のそばの駐車場に置かれている。

ロスアンゼルスは、車社会なので、不便もはなはだしいなと思っていたら、隣の船の持ち主バディー・ロックリッジが、運転手代わりをしてくれる。
ありがたい存在ではあるが、好奇心旺盛で、なんにでも口出しをしてくれるのが迷惑な存在でもある。

そんな生活に、ある日、女性が訪ねてくる。

というのが、本の出だしである。




だが、映画では、連続殺人事件があり、その凄惨な現場から話が始まり、その犯人らしき人物が野次馬の中にいるのを発見して追跡するが、心臓のために取り逃がすところから始まる。

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映画と本ではかなりの部分が違うのである。



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マイケル・コナリーの作品は、プロットがかなり複雑で、最後の最後まで読ませよう楽しませようという意図に基づいて作られている。

映画としては、饒舌すぎて映画には収まりきれないということだろうか。


ハリー・ボッシュシリーズも、クリント・イーストウッドが映画化権を買ったそうであるが、いまだに製作が始まったという話が聞こえてこない。


この映画でも、本通りにやれば、かなり複雑になるので簡略出来るところは簡略化して、付け足せるところはつけたしたようである。

本のほうでは、現職のFBIが絡んできてマッケレイブはつまはじきになるが、映画では現職のFBIは出てこない。

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全米にわたる連続殺人事件の場合は、連邦警察たるFBIの管轄となり、事件を担当していた警察から事件が取り上げられることが多く、現場の警官からすれば、腹に据えかねるわけである。

本では、FBIと現場ロスアンゼルス地区の警官との確執が描かれているが映画では省略されている。

ロスアンゼルス市市警とロスアンゼルス郡保安官事務所の確執にかわっているが、本では、これにFBIが絡んでくるのである。

三すくみ状態に、マッケレイブが絡んでくるので、三者から睨まれ、終いには犯人扱いにされる。


さらに、映画では、最初に出て来た連続殺人犯『コードキラー』の謎の数字の解決の糸口を見つけたのは、殺された女性の息子レイモンドであるが、本では、マッケレイブが数字の意味に気が付き、この連続殺人犯が、自分が現職の時追っていた連続殺人犯である『コードキラー』であることに気が付き、最初の最初から、計画されていた罠であることに気が付く。

捕食者(predator)であるFBI捜査官が、獲物(prize)である犯人の罠にはまり、逆に獲物になっていたのである。

心臓さえも・・・・・・


映画で、マッケレイブが、犯人らしき男が車で後をつけていることに気がつき、ショットガンで撃つが、これも本ではない。
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本のほうは、どちらかというと、もっと心理サスペンスで、映画のほうは、映画ゆえにか、アクションシーンがかなり導入されている。

『ダーティー・ハリー』のイメージがちらついた。脚本家が意識して入れたのか?

『ダーティー・ハリー』の犯人も異常者であり、連続殺人犯であるが、最近は日本でも増えたようである。
残念ながら、日本警察は、異常者に追いつけなくて、江戸時代の岡っ引きまがいの捜査をして、無実の人間を有罪にしてばかりいるようである。



映画では、映像的にわかりやすくしてあるようである。

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相棒であるバディーも、本では老人であるが、映画では若い。

本とは逆になっている。


これはクリント・イーストウッドが、撮影当時でも71歳で、とっくにFBIを退職して引退していてもおかしくない年齢であるから、相手を若者にしたと思っていたが・・・・・・・

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『カイロの紫のバラ』や『アラクノファビア』に出演しているジェフ・ダニエルズであるから・・・・・・


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映画と本の決定的違いは、犯人が、映画と本ではまるっきり違うことである。


本では、別人が犯人なのである。



ぜひ、両方をご覧になることをお勧めする。



その違いにあぜんとしますよ。



マイクル・コナリーの作品にはいつも驚かされる。


1月23日から26日までのテレビ東京の午後1時のロードショーはクリント・イーストウッド監督特集であったが、これは、クリント・イーストウッド監督、デカプリオ主演の『J・エドガー』が1月28日に公開されるのに合わせたのであろう。

案の定、番組の最後に、劇場招待券のプレゼント抽選を用意していた。



                                  



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参考YouTube









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参考文献




わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)
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マイクル コナリー

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わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)
扶桑社
マイクル コナリー

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
こちらでは多分放映されていないと思いますが、この映画知りませんでした。
イーストウッドの映画は何本か見ましたが、
ラストがどうにも暗いのが多く
ちょっと気持ちが下がってしまう事が続きました。
原作を読むと映画が楽しみな半面、
内容の違いさにがっかりする事も度々で、原作者がよくOK出したなと思う事もあります。好きな原作であればあるほどです。
ミヤニャン
2012/01/29 13:41
「ダーティー・ハリー」のシリーズは大好きでした。おもしろかったですよね(*^_^*)
『わが心臓の痛み』も、たしか読んだはずなのだけど・・・イマイチ細部が思い出せないなあ。マッケイレブに奥さんと子どもがいたのは覚えてるんですが(笑)
キーブー
2012/01/29 15:02
 原作は読んでいませんが、この映画は観ました。原作とはだいぶ違いがあるようですが、単純化するしかなかったんでしょうね。
 映画としてはそれなりに面白かったです。最後の犯人との駆け引きと追っかけはドキドキしました(~_~)。
遊哉
2012/01/29 15:17
upありがとうございます♪早速『わが心臓の痛み』ほか
マイクル・コナリーの小説数冊を予約しました!
色々シリーズがあるので楽しみです^^。
映画だとマッケイレブとハリーがどこか重なったり
脇役がジェフ・ダニエルズだった時点で犯人だ!みたいな(笑)
感がありましたが本だと誰が犯人なのか?
いまからワクワクしますね。
ひまわり
2012/01/29 17:24
☆ ミヤニャンさんへ
たしかに、最近のクリント・イーストウッドの監督作品は暗いのが多いですね。
歳を取って、語っておかねばならないことがあると思ったのでしょうか。
この作品は、ハードボイルドとミステリーの組み合わせですから、おもしろいと思います。
ねこのひげ
2012/01/29 18:12
☆ キーブーさんへ
『ダーティー・ハリー』はおもしろかったですね。
マッケレイブは、独身です。
子供は、殺された女性の息子で、女性は殺された女性のお姉さんです。
ねこのひげ
2012/01/29 18:20
☆ 遊哉さんへ
原作は、もっと複雑で、駆け引きもあり、心理描写もあるので、映像では無理があったんでしょうね。
映画としては、動きがあったほうがいいですからね。
ねこのひげ
2012/01/29 18:26
☆ ひまわりさんへ
予約されましたか。マイクル・コナリーの作品は、発表順に読んだほうがいいかもしれないのもあります。
たとえば、この『わが心臓の痛み』にも出てくる『ポエット』という連続殺人犯は、『ザ・ポエット』という一冊の本になってますし、『ザ・ポエット』の続きの作品『天使と罪の街』もありますから。

日本のドラマでも、配役を見ただけで、こいつが犯人だなとわかる作品がありますからね。
ねこのひげは、最初、小説を読んでいたので、映画を見たときはビックリしましたけどね。(笑)
ええ〜っ!?でした。
ねこのひげ
2012/01/29 18:44
両方知らなかったのでした。どちらを先に知るかで作品のイメージが全然違うものになってしまう事は良くあります。記事を読ませていただいた限りでは、原作の方が面白そうですね。別物と思ってみれば映画は映画で面白いのでしょうけど。まぁ好みもあるし。
NYに住んでいた時、子供の友達の父親にFBI捜査官という人が居ました。元だったのかも知れませんが眼光鋭い体格の良い方だったらしいです(私は会っていないので)
うずら
2012/01/31 00:46
はじめまして、ジュンチーさんの処にお邪魔している者で「ボーイング渡辺」と申します

私も猫が好きで「ねこのひげ」さんのブログを読ませていただきました
何と言う 蘊蓄のある文章なんでしょう
パナのGF3の処に「根津」「谷中」が出て来ますね 今では「谷根千」なんて俗っぽい呼ばれ方されていますが カキ氷を食べた それは「芋甚」尾張屋さんではないでしょうか?

実は渡辺は根津っ子なんです
地元の小中学卒です
今は北関東の田舎に住んでますが

猫と谷根千と映画の話
もっとたくさんたくさん紹介して下さい
イーストウッド R・バートン R・ハリス 戦う渋い役者の活躍 「戦略大作戦」「戦争の犬」「ワイルドギース」

特にハリスの「ジャガーノート」「カサンドラクロス」は大好きでした

また遊びに来てもよろしいでしょうか? 今日はラジオでフィル・スペクターの特集をやってるので夜更かししてしまいました
ボーイング渡辺
2012/01/31 03:42
☆ うずらさんへ
それは、確かにありますね。
小説のほうがより複雑なのでおもしろいかもしれませんが、映画はアクションがあったほうがいいですからね。
本物のFBI捜査官ですか!それはすごいですね。警察関係、特に刑事クラスになると眼光鋭いですね。
ねこのひげ
2012/01/31 05:44
☆ ボーイング渡辺さんへ
いらっしゃいませ♪
はい、尾張屋さんです。
生まれが根津ですか。
最近は、谷中銀座も人が多くなって歩きにくいです。
『カサンドラクロス』サスペンスとパニックの組み合わせでおもしろかったですね。

どうぞ、またおいでください。歓迎します。
ねこのひげ
2012/01/31 06:01
はじめまして、楽しく映画と本との違いを読ませて頂きました。
映画の最後の場面でイーストウッドが「ten rings」といって
引き金を引くのですが、このTEN RINGSとは何のことなんでしょうか
KEN
2015/11/21 21:17
☆ KENさんへ
ねこのひげもいろいろ調べてみましたが、正解と言える答えは見つかりませんでした。
完璧!とかいう意味ではないかと推察されます。
ねこのひげ
2015/11/29 08:34
>日本警察は、異常者に追いつけなくて、江戸時代の岡っ引きまがいの捜査をして、無実の人間を有罪にしてばかりいるようである。

根拠がわかりません
kio
2017/03/27 00:31

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