ねこのひげ

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zoom RSS スティーグ・ラーソン著『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』

<<   作成日時 : 2012/01/24 05:54   >>

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ディヴィッド・フィンチャーが映画化して2月10日に公開というので、3年前に読んでいたのを、正月にもう一度引っ張り出して読んでみた。
作者のスティーグ・ラーソンは、スウェーデンの小説家で、この『ミレニアム』三部作が処女作で、世界で5000万部も売れることを知ることもなく、出版される前に心臓麻痺で亡くなった。

当時、パートナーであった女性がいたが結婚して籍を入れていなかったので、莫大な印税を受け取ることもできず、パートナーを失った女性は生活が困窮しているそうである。

日本だと、多少の利益配分は受けられるはずだが、ヨーロッパでは、表面的には男女平等を装いながらも、裏での女性蔑視の傾向が、法律の上でも根強く残っているのである。

その酷さには、日本の比ではなく唖然とするものがある。


この『ミレニアム』シリーズにも、その傾向が色濃く彩られ、現実に行われたら、目を背けたくなるような女性に対する陰湿な虐待や冷酷な性犯罪が、三冊に渡りリアルに描かれている。

その割には、日本では若い女性に売れているそうである。

日本で、800万部売れたそうである。

最近の日本の女性作家でも、残虐な内容の小説が多い気がするが、本来女のほうが残酷なのが好きなのかもしれない。

ねこのひげは、アメリカのミステリー小説などで、こういう病的な連続殺人犯の話をよく読んでいるので、あまり驚かないが・・・最近のお気に入りのマイクル・コナリーの小説には、もっと酷い連続殺人犯が出てくる。


しかし、ひさしぶりのスウェーデンのミステリー小説というので読んだのである。

たぶん、マルティン・ベックシリーズ以来である。

マルティン・ベックシリーズのひとつ『笑う警官』も、『マシンガン・パニック/笑う警官』というタイトルで映画化されているので、ご存知の方もいるだろう。


『ミレニアム』というのは、月刊の経済誌で、その共同経営者で敏腕経済記者でもあるミカエル・ブルムクヴィストが、罠にはまり裁判に負けるところから話が始まる。
裁判に負けたことで、ミカエルは、名誉棄損で三か月ほど刑務所に入ることになり、『ミレニアム』は廃刊の憂き目にあいそうになる。

そこにスウェーデン屈指の大富豪ヘンリック・ヴァンゲルから、ある依頼に対する報酬を受け取るという形で、手が差し伸べられ、ミカエルは藁にもすがるつもりで、しぶしぶながら話に乗る。

依頼は、33年前に行方不明となった甥の娘ハリエットの行方不明になった理由の究明である。
すでに、殺されているかもしれないが、殺されているとするなら、その理由をしりたいという依頼である。

見返りは、罠にはめた実業家ハンス・エリック・ヴェンネルストレムを社会から追い落とせるはずの秘密を教えることである。

そのミカエルの身元調査をしたのが、ドラゴン・タトゥーをした女、女性調査員リスベット・サランデルである。

リスベット・サランデルも幼少時代からさまざまな迫害や性的暴力を受けてきているので、かなり歪んだ精神を持っている。

彼女はアスペルガー症候群であり、観たもの全てを克明に覚えておけるという能力を持つ天才的なハッカーである。


最初は、33年前、事故で密室状態になった孤島で行方不明となった少女を探すという古典的密室サスペンスから始まり、やがてヴァンゲル家という大富豪一族の闇の部分にはいていき、行方不明事件はグロテスクな連続殺人事件の様相を示し、それが百年前から行われ、現在も続いていたことがわかる。

その犯人は解明されるが、小説はそこで終わることはなく、ミカエルを裁判で打ち負かした大物実業家ハンス・エリック・ヴェンネルストレムの正体が、リスベット・サランデルの調査により得た資料により、ミカエルによって執筆され、『ミレニアム』誌上で暴かれることにより、スウェーデン経済界は大混乱に陥る。



物語の最後のほうでミカエルがテレビのインタビューで語ることが、この作者スティーク・ラーソンの言いたかったことかもしれない。


「ハンス・エリック・ヴァンネルストレイムの正体が、暴かれることによって、世界的企業であるヴァンネルストレイム社の株は暴落し、スウェーデン経済は、大打撃を受け、崩壊しつつあるが、それに対して『ミレニアム』は、どう責任をとるつもりか?」

という記者の質問に対して、

ミカエルは

「スウェーデン経済とスウェーデン株式市場を、混同してはいけない。スウェーデン経済とは、この国で日々生産されている商品とサービスの総量です。それはエリクソンの携帯電話であり、ボルボの自動車であり、スカン社の鶏肉であり、キルナとシェーヴデを結ぶ交通です。これこそがスウェーデン経済であり、その活力は一週間前から何も変わってません。」

「株式市場は、これとはまったく別物です。そこに経済もなければ、商品やサービスの生産もない。
あるのは幻想です。企業の価値を時々刻々、十億単位で勝手に決めつけているのです。現実ともスウェーデン経済とも何のかかわりもありません。」

「株価が下がっているのは、多くの投資家がスウェーデンからドイツに乗り換えているからです。気骨のあるジャーナリストならこうしたハイエナどもを見つけ出して、売国奴として世の批判にさらすべきでしょう。彼らこそ、自分たちの利益を追求するため組織的に、かつ意図的に、スウェーデン経済を崩壊させている張本人なのですから」




と語った。


この文章のスウェーデンの国名を日本、アメリカ、もしくは世界と書き換えてもいい。


さらに、格付け会社というわけのわからんおれおれ詐欺と変わらん会社に世界は踊らされていると思う。

ああいった会社は、磨り潰すべきであり、経営者を詐欺師として告発すべきである。

すでに、イタリア警察は、意図的に操作をして、イタリア国債の暴落を招いたとして格付け会社の強制捜査に乗り出している。

日本でも捜査すべきだと思う。アメリカではすでにFBIが動いているだろう。

格付け会社という怪しげな組織に操られて株式投資をするなど愚の骨頂である。



食べログなんてのもロクなサイトじゃあないよ。てめえの口を信じろってんだ!

食ってうまけりゃいいんだよ。まずけりゃあ、二度といかなけれやあいいんだよ。

人が食ってうまいものが、自分にとってうまい食い物とはかぎらないんだよ。


自分で、まずいものを食ってみてこそ、本当になにがうまいかがわかってくるんだ。

他人に躍らせれすぎる。




スカンジナビア半島の人名は、日本人にとって馴染みが薄いので読みにくいかもしれないが、一読に値する小説である。



作者が亡くなって新しい作品が読めないのが、残念であるし、痛ましいことである。



映画のほうは、まだ観ていないが、デヴィッド・フィンチャーは、ブラピを主役にした『セブン』、『ファイトクラブ』、『ベンジャミンバトンの数奇な人生』を製作した監督であるから面白いのではないかと思う。

予告を見ると、デヴィッド・フィンチャー得意の陰鬱な暗い画面に仕上がっている。


デビュー作の『エイリアン3』は・・・・ちょっと?でしたけどね。



                    










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参考YouTube





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参考文献


ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
スティーグ・ラーソン

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ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
スティーグ・ラーソン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


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「ミレニアム1」ラーソン
スウェーデンの作家による、各国で話題になった作品。 背景にあるのは女性への暴力だ。    【送料無料】ミレニアム(1 〔上〕) [ スティーグ・ラーソン ]価格:840円(税込、送料別) 主人公はジャーナリストのミカエル。 雑誌「ミレニアム」を出している。 実業家の… ...続きを見る
りゅうちゃん別館
2012/10/27 09:56

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
 マルティン・ベックシリーズは面白かったですね。夢中になって読んだものです(~_~)。
 最近はまたスウェーデンというか北欧のミステリーで面白いのが出てきているようです。『特捜部Q キジ殺し』というコペンハーゲン警察の特捜部の話のようですが、よさそうです。
 この『ドラゴン・タトゥーの女』も話題になりましたが、読んでいません。面白そうですね。読んでみたいです。映画も観てみたい(~_~)。
遊哉
2012/01/24 12:43
スウェーデンは生活水準が高く福祉も行き届いているというのは
もう過去の話かもしれませんね。フィンチャーは「エイリアン3」
ではガッカリしましたが「セブン」は素晴らしかったです!
サイコは苦手なんですけどね^^;
七つの大罪というテーマがよかったです。
「ソーシャルネットワーク」もヒットしましたね。
全体的に暗いセピア色のような印象が強いのですが
この作品はどう仕上がってるのか乞うご期待ですね^^/
ひまわり
2012/01/24 18:07
☆ 遊哉さんへ
遊哉さんのおかげで、すっかり積読本が増えましたよ。(^^ゞ
『特捜部Q キジ殺し』も探してみます。
『ミレニアム』シリーズは、最初、えぐいかな?と思ったんですが、わりと直線的で面白いです。
映画も・・・かな?
ねこのひげ
2012/01/24 18:53
☆ ひまわりさんへ
どこの国にも影の部分があると思います。
人間一人一人の欲望に差がありますからね。どこか歪みが出てきますよね。
デヴィッド・フィンチャーは、作る度にうまくなるタイプの監督のようで、後になるほど面白い映画になったような気がしますので、この映画も期待してます。
ねこのひげ
2012/01/24 19:04
北欧の方は事実婚が普通と思ってましたので、女性蔑視は意外に感じてびっくりしました。
映画の予告は見ましたが、
社会派の映画なんですね。
本屋さんにこの本平積みにされてましたよ。そんなに売れた本とは知りませんでしたが。
ミヤニャン
2012/01/24 22:26
☆ ミヤニャンさんへ
日本でも、結婚していると法的に優遇されることが多いですが、スウェーデンでは、もっと優遇されているようです。
スウェーデンのミステリー小説は、社会悪とか政治悪を告発する部分がはいている小説が多いようです。
ねこのひげが、買ったときでも、世界で1000万部売れた!とか書いてありました。
きのうのアカデミー賞ノミネートの発表を見ると、リスベット役のルーニー・マーラーが主演女優賞にノミネートされているから、もっと売れるでしょうね。
ねこのひげ
2012/01/25 05:38
この映画、連日テレビCMが流れてますね。ダニエル・クレイグも出るし、興味を惹かれてますが・・・観に行こうかどうしようか迷ってます(^^ゞ
この本も、本屋でたくさん平積みになってますよね。こちらも手を出そうかどうしようか迷っているところですが(笑)
陰惨な事件の描写が多いとのことですが、読後感はいかがでしたか?
心がずんと重くなるようだとイヤだしなあ。。。
キーブー
2012/01/25 18:25
☆ キーブーさんへ
ミステリーですから、ネタバレするわけにはいきませんが、読後感はカタルシスですね。
リスベットが、大暴れ・・・・・ミカエルがモテモテおじさんで・・・・いやいや、やめておきましょう。
読んでからのお楽しみということで(^^ゞ
事件は解決しますし、いやな終わり方ではないとだけ言っておきましょうか?
世界で5000万部売れる本ですから、難解さもないです。
ねこのひげ
2012/01/25 19:04
きょう午後のロードショーでマイクル・コナリーの
『ブラッド・ワーク』を観ました!
監督、主演がクリント・イーストウッドでした。
猟奇殺人でしたがさほどエグい場面もなく
心理サスペンスなのでとても面白かったです。
マイクル・コナリー読んでみたいと思います(^^)ノ

ひまわり
2012/01/26 19:10
☆ ひまわりさんへ
ごらんになりましたか。
この映画と原作『わが心臓の痛み』は、かなり内容が違ってますので、原作を読んで比べてみるのもおもしろいですよ。
ねこのひげ
2012/01/27 06:40
面白いコトに、アメリカの格付け会社がEU圏の格付けを下げたら、次はそのやり返し。そしてまたもやアメリカ格付け会社の逆襲・・・と奇天烈ループが発生しています。
無関係とはいかないでしょうが、多くの企業が彼らの愚行を冷視しています。
ひるま
2012/01/28 17:32
☆ ひるまさんへ
ループが発生してますか!それは、おもしろいですね。
格付け会社に言われて上がったり下がったりするというのも、どうかと思いますけどね。
競馬で、予想屋に聞いて馬券を買うのと変わらん気がします。
やがて、だれも信用しなくなるでしょうね。
ねこのひげ
2012/01/28 18:31

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