ねこのひげ

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zoom RSS テメレア戦記ー気高き王家の翼

<<   作成日時 : 2011/04/24 05:05   >>

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この物語をご存知だろうか?
ナオミ・ノヴィクによる龍・ドラゴンが主人公のファンタジー小説である。
19世紀初頭、かのナポレオン・ヴォナパルトが、フランス皇帝になった時代に、ウィリアム・ローレンスというイギリス海軍の若き艦長が、フランス軍との戦闘で戦利品として『龍の卵』を手に入れたことから、本人の意思にかかわらず龍使いとならざるを得ないところから物語が始まる。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』よりすこし後の時代であり、まだ人類が産業革命に犯かされる前の話である。

よって船舶は帆船であり、戦争も大量殺戮兵器を生み出す前、大砲と銃で打ち合う程度の時代の話である。

ライト兄弟が初飛行する百年前の話であり、とうぜん、空を駆けているのは鳥と龍のみであった時代の話である。


『テメレア戦記』

いままで数々の龍をあつかった物語を読んできたが、そのなかでもイチニを争う物語である。

以前にも一度書いたことがあるが、ねこのひげは龍という架空の生物が大好きなのである。現実に存在した龍である恐竜も好きだが、象よりも巨大な生物がコウモリのような翼で空中を自由に飛び周り、口から火を噴くという架空の生物である龍が大好きなのである。



ただいつも気に入らないのは、龍を扱った小説でありながら龍がほとんどでてこない物語が多いことである。

出てきても脇役であったり、凶暴な怪物であったり、神のような伝説の存在で最後の生き残りの1匹とかだったりする。

魅惑的な龍の物語を書いてくれる人はいないものか?と思っていた。


この『テメレア戦記』は、その龍が主人公なのであり、大小さまざま多くの龍が出てくる。

前述したローレンスが手に入れた龍の卵から生まれた龍が”テメレア”である。

龍は卵から孵ると、すぐに乗り手となる人間を選ぶ。選ぶのは龍であり人間ではない。

鳥の刷り込みと同じである。鳥の雛は卵から孵ると一番最初に目にした物を人間であれ、犬であれ、親と思い込むように出来ていて、成長するまで、ついて歩く。

龍の気持ちが変われば乗り手が変わることも出来るが、テメレアをシロウトの海軍の艦長にまかせてはおけないと空軍のパイロット(龍の乗り手・騎手)が乗り込んで来るがテメレアから拒否されてしまう。

おかげでローレンスは海軍の船長をやめ、空軍の龍のパイロットになるはめになるが、そこからローレンスと空軍のパイロットたちとのトラブルが起きる。



龍は生まれてすぐに人語を解し、テメレアは英語、フランス語を自由に話し、読書が大好きである。ただし、巨大なため、自分で本のページをめくることが出来ず、もっぱらローレンスに読んでもらっている。

成長して大人になった大型の龍には軍船を凌ぐ個体もいる。

かなりの知能の高さを持ち、戦記ものだけでなく、ローレンスが理解できないような、ニュートンの数学やラプラスの天文力学の本なども読んでもらって、反対にローレンスに解説してくれたりする。

成長が急速で、生まれてすぐには大型の犬程度だったのが、イギリス本土に付くころは、帆船の後甲板を占領し、生餌を好むため、船員たちの食料である生きたヒツジをむさぼり食う。

このままでは、イギリス到着までに乗組員は飢え死にである。

もしかして・・・・と魚でもいいかと聞くと、食べてみるというので船員が釣ったサメを与えると気に入ったので、自分で獲らせることになり、テメレアと名づけられた龍は、ローレンスを乗せて空中に舞い上がり、カギ爪で、イルカやマグロを捕まえ、むさぼり食った。

おかげで船の食糧危機は解決される。


物語の進行は、史実に基づいており、ナポレオンが、エジプト遠征をしたころから、1805年10月21日にイギリス本土上陸を計ろうとして『トラファルガー海戦』でネルソン提督ひきいるイギリス海軍に敗れるまでの歴史に、龍という生物が、まるで戦闘機や爆撃機のような空軍として活躍するという架空の物語がたくみに挟み込まれているのである。

SF小説のパラレルワールド物となっている。この『テメレア戦記』は、ナオミ・ノヴィクの初めての小説ながら、伝統あるSF大賞のローカス賞を受賞し、ヒューゴ賞にもノミネートされ、ベストセラーとなる。


パラレルワールドとは、我々の住む現在の現実世界とは、すこし違う現実の世界が平行して存在するという理論であり、『テメレア戦記』は、その理論に基づいた現実に起きた戦争とは違う戦争を描いた架空戦記物ともいえる。


SF小説ではよく使われる手法である。2009年のスタートレックの映画『スタートレック』では老若2人のスポックが同時に出てくるのがそれである。

であるが、面白くなければ、ご都合主義として見捨てられる手法でもある。ねこのひげは、あまり好きではない小説手法である。

だが、この『テメレア戦記』シリーズは文句なく面白いし魅力ある。好きである。



小説というのはいかに史実通りに書こうと面白くなければ失敗であるし、面白くしようとしてやりすぎて失敗した現在進行形の大河時代劇ドラマもあるが・・・・。




龍であるテメレアも魅力あるが、いやいやながら相棒となったローレンスも魅力ある人間であり、この龍と人間のコンビが活躍する冒険活劇である。

柔軟な発想をする龍テメレアと保守的で堅物の人間ローレンスのやり取りが面白い。

2人は、深く友情で結ばれていく。。


龍も、不死身ではなく戦闘中、傷ついたり殺されたりする。

龍に乗るのはパイロットであるローレンスだけでなく、射撃手や爆撃手、信号手などの乗組員が乗る。


龍は第二次大戦中のB−29のような大型の爆撃機のような役目をするのである。

現在の戦闘爆撃機は、高速で移動して地上攻撃もほとんどミサイルによるので、機体を守るための機銃を背中や後尾に持つことはないが、第二次大戦中の爆撃機はハリネズミのように機銃を取り付けていた。


特にこのイギリス空軍のアブロ・ランカスター爆撃機は、その無骨なスタイルが好きで、かつてプラモデルを製作したことがある。

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ランカスターはダムバスターと呼ばれる特殊な爆弾でドイツのダムを攻撃し破壊したことで有名になった。



作者は、イギリスを舞台にしたとき、このランカスターを頭においてこの龍を戦闘機とする物語を描いたのかもしれない。


龍が爆撃機のような役目をするのがおもしろいし、小型の龍は偵察や伝令の役目をする。


龍の研究をしている貴族もいたり、龍をただのケダモノとしか思わない人間がいたりして、貴族社会の偏見や差別なども描かれているのが、物語に厚みを与えている。


龍の品種は何種類もあり、物語の後半でテメレアは中国(清)皇帝からフランスの皇帝となったナポレオンに送られた龍の中でもきわめて貴重な最高の品種であることがわかる。

それが第二巻の『翡翠の玉座』へと繋がる。中国が、テメレアの返還を求めてくるのである。

作者は、中国に世界の常識は通じない身勝手な国と書いている。よくご存知のようである。

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日本の龍についても触れられていて、モンゴルの元寇を撃退したのは、日本の龍が、雷で元のフビライ・ハンの艦船に火をつけ、嵐を引き起こして沈めたことによるものということになっている。

このあたり作者は、実によく調べている。

中国の龍は黄色いのがもっとも尊いとされているとの記述もある。漢王国に助言をあたえた『黄皇帝』という龍の存在で語られる。


作者は、元々はゲームクリエターであったが、もっと自由に創作活動をしたいと小説を書き出したのがこの『テメレア戦記』であり、現在アメリカでは第6巻まで出版されており、日本では3巻まで出版されているが、来年の春頃、4巻が出版予定だそうである。



このテメレア戦記』の映画化権は、かの『ロード・オブ・ザ・リング』のプロデューサーであるピーター・ジャクソンが獲得したそうであるから、いずれ映画として公開される日も近いだろう。



さっさと『ホビットの冒険』の撮影をおえて、こちらに取り掛かって欲しいものである。スタジオ経営の不振や『ロード・オブ・ザ・リング』の裁判沙汰で遅れているようである。

『ホピットの冒険』は『ロード・オブ・ザ・リング』(指輪物語)の前の物語である。



悠久の空を自由に飛ぶ龍。ドーバー海峡の上空で空中戦をする龍を見てみたい。



いまのCG技術を駆使するなら違和感なく現出させてくれるだろう。





                                  



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おもしろそうな作品ですね(*^_^*)
そんな龍がいつもそばにいてくれたら楽しいでしょうね♪
でも、ニュートンの数学やラプラスの天文力学の本を解説してくれるのはありがたいけど、羊をむさぼり食いますか〜そのお食事シーンはあんまり見たくないような。。。(笑)
キーブー
2011/04/26 22:49
☆ キーブーさんへ
牙の間に挟まった肉片やひげについた血などを掃除してやるのが人間の役目で、それ専門の使用人がいたりします。
飛行機の整備をする整備士みたいなものですかね。
新しい巻では、龍の権利を主張して待遇改善要求をイギリス政府に突きつけたりします。(笑
ねこのひげ
2011/04/27 04:40

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